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    くるみの定期的摂取は女性の健康長寿に関連

    2020/02/20

    カリフォルニア州、フォルサム、2020年2月20日 ― 新たに行われた疫学的研究1によれば、50代後半から60代前半の女性がくるみを週に2回以上摂取した場合、摂取しなかった女性に比べて、健康長寿の確率が高まりました。高齢者における健康に影響を及ぼしうる教育や身体活動などの様々な因子で補正したところ、健康長寿との有意な関係が認められたのは、ナッツのなかでもくるみだけでした。

    カリフォルニアくるみ

    今回の研究は、カリフォルニアくるみ協会による資金援助を受けたもので、「健康長寿」とは、健全なメンタルヘルスをもち、主要な慢性疾患がなく、65歳以降における認知機能の低下や身体障害がない長寿と定義されました。研究者らは、ナッツ(くるみ、ピーナツ、その他のナッツ)の総摂取量と健康長寿との間に有意な関連を見出しましたが、特にくるみとの堅固な関連性が示されました。

    2034年までに、米国では歴史上はじめて、高齢者の数が小児の数を上回ります。ベビーブーマー(65歳以上)が総人口の21%を占め、その半数以上が女性であると推定されます。米国の歴史におけるそのような人口学的転換期の重要性は明らかです。加齢の過程を調べることは、健康な食品を選ぶなどといった簡単で低価格の介入の検討も含めて、健康寿命にとって特に重要となります。

    「日本では、すでに65歳以上の高齢者が総人口の28.4%に達しており、うち女性が76.9%を占めています(人口推計、2019年9月、総務省統計局)。出生率が低下する一方で、高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は上昇を続け、高齢化の速度も他の先進国と比べ速いことから(『平成30年版高齢社会白書』、内閣府)、今後、少子高齢化が急速に進展すると見込まれています。そうしたなか、社会保障費の増大や少子化に伴う労働人口の減少と相まって、高齢者の健康管理は重要な課題となっています。」

    今回の主任研究者であり、元ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(Brigham and Women’s Hospital)のFrancine Grodstein博士は、これまでに、年齢が比較的高い成人では、くるみを摂取することにより、認知機能の低下だけでなく身体障害のリスク低下に良好な効果が得らえる可能性を明らかにしています。また、同研究グループの他の研究者らは、くるみを摂取することにより、心血管疾患や2型糖尿病が減少するとする研究結果を報告しています。これらは、いずれも加齢に伴い増加する疾患です。加齢による影響を遅らせる対処法は一つではありませんが、少量のくるみを間食として摂取するなどといった、正しい食習慣を身に着けることが有用である可能性があります。

    今回の研究でGrodstein氏は、看護師健康調査(Nurses’ Health Study:NHS)に参加した女性3万3,931人のデータを基に、ナッツの摂取と高齢期の心身の全般的健康との関連を検討しました。1998年~2002年にNHSの女性看護師を対象に、食事(ナッツの総摂取量を含む)に関する聞き取り調査、慢性疾患(がん、心筋梗塞、心不全、脳卒中、2型糖尿病、パーキンソン病など)の評価、さらに記憶力低下や精神的健康および身体的制限(1ブロックの歩行、階段を1階分上がる、入浴、身支度、掃除機をかけるといった日常的活動を含む)の測定を実施しました。その結果、研究参加者のうち16%が、メンタルヘルスが健全なだけでなく、主要な慢性疾患や記憶力低下の申告、身体障害がない「健康長寿」であることが明らかになりました。

    先行研究2,3らは、くるみを含めた健康な食事が、年齢が比較的高い男性および女性の身体機能の改善に関連することが示されています。今回の研究対象は女性のみだったことから、これらの結果が男性にも当てはまるかどうかを確認するには、さらなる研究が必要です。さらに、今回の研究では参加者をくるみの摂取群と他の食品の摂取群に割り付けることはせず、被験者の食事の選択に関して聞き取り調査を行っただけでした。質問票を用いた調査のため、被験者が自身の食事摂取に関して誤った報告をした可能性もあります。今回の研究は観察研究であり、因果関係を証明するものではありません。しかし、本研究は、くるみを食事に取り入れるといった簡単な食習慣が、老後の健康に影響を及ぼしうる可能性を示唆しています。

    本研究成果について、生活習慣病の発症要因としてのマグネシウムを長年臨床研究している日本生活習慣病予防協会役員で東京慈恵会医科大学の横田邦信客員教授は、以下のようにコメントしています。「ナッツ類には不飽和脂肪酸やビタミン類、マグネシウムなどのミネラル類、食物繊維といった栄養素が豊富に含まれますが、その摂取の健康効果がこれまで多くの研究で示されています。今回の研究は、比較的年齢の高い女性を対象とした観察研究で、健康に影響を及ぼしうる様々な要因で補正後、全般的なナッツ摂取と“健康長寿”との間に有意な関係を認め、しかもその関連性がくるみで特に強いことを見出した大変興味深い研究と言えます。なお、被検者の食事ついては質問票での回答情報をもとにした解析結果ですが、定期的なくるみの摂取は女性の健康長寿に関連することが示された訳で、今後、男性についても同様な結果が得られることが期待されます。」

     

    • くるみのスパニッシュオムレツ

      参考レシピ:くるみのスパニッシュオムレツ

    • アボカド納豆くるみボウル

      参考レシピ:アボカド納豆くるみボウル

    参考文献:
    1Tania-Marisa Freitas-Simoes, et al: Journal of Aging Research, Volume 2020, Article ID 5651737, 7 pages
    https://doi.org/10.1155/2020/5651737
    2Public Release: 8-APR-2019, Brigham and Women’s Hospital.
    https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-04/bawh-hdh040819.php
    3Hagan KA, Grodstein F: J Nutr Health Aging. 2019;23(5):459-465. doi: 10.1007/s12603-019-1185-y.